「異常の構造」

巻頭からの引用

精神病院の医者が、自分は永遠に賢明とおもいこみ、彼のちっぽけな分別がどのような人生の痛手をも受けないように保証されているなどと信じるまでに愚かであるならば、彼はある意味では狂人たちよりも賢明であるかもしれないけれども、同時に彼ら以上に愚かなのであって、多くの狂人を癒すこともないに違いない。
キルケゴール

巻末からの引用

私は本書を、私が精神科医となって以来の17年余の間に私と親しくつきあってくれた多数の分裂病患者たちへの、私の友情のしるしとして書いた。そこには、私がしょせん「正常人」でしかありえなかったことに対する罪ほろぼしの意味も含まれている。
(著者)

木村敏 著 「異常の構造」より引用。

自分が介護の仕事に携わる前に読んでかなりの影響を受けた本です。介護の現場というと安易なヒューマニズムが幅をきかせていて、胡散臭そうなイメージを持っていましたがそうではなく何か大事なものが得られるんじゃないかと思わせてくれた一冊です。
そろそろ介護という仕事に一区切りつける時期にもなってきたので初心を思いだすべく読んでいます。