あの金で何が買えたか。






JMMで最近『マサイマラ・レポート』が始まった。ケニアで起きた暴動がきっかけでそのレポーターである滝田明日香さんの活動を知ることになったのだが年齢もそう離れていない方なので親しみを覚える。ちょうど文庫本も出していたので読んでみた。
日本人というアイデンティティと、海外生活が長いゆえの外国人というアイデンティティの狭間で苦しみぬいた結果アフリカの地に自分の居場所を見つけたような感じで、タフに生きているなという印象でした。
ケニアの野生動物保護などの活動も実施している様子。詳しくは本人のホームページ獣の女医 in アフリカ
今までは「野生動物保護」なんていうと人間のエゴが混じっていていやな響きも感じてしまう言葉であったが滝田さんの本を読んでみて、アフリカに骨をうずめる覚悟で行って「野生動物保護」という言葉を言うのでは重みが違うなと思った。「野生動物保護」は単に動物を保護するというのではなく、「自然」とその境界に住む人間との軋轢を合理的に解決する効果的な手法であることを知った。今回の暴動のせいで観光業は壊滅的な被害をうけ、そこからの収入で成り立っていた野生動物保護活動をするレンジャーたちの資金が底をつきかけている様子で募金活動もはじめているみたいです。一億円ぐらいあれば活動を維持できるとのこと。
。。バブルがはじけて銀行に公的資金がじゃぶじゃぶと注入されて、その一般的でない金額で他の買い物をするならどんなものが買えたのかを村上龍が書いたのが、今回のエントリの題名の「あの金で何が買えたか」だけれども、この本は読めば読むほど腹立たしくなってくること間違いない本ですw
それと同様に今回の「新銀行東京」への資本注入1000億(だっけ?)も非常にうんざりするニュースです。銀行の「貸し渋り」へのカウンターパートとして生れ落ちたような銀行だったけれども、結果的に回収不能になってしまったのなら企業の倒産は時代の必然であったという事になる。淘汰されるべきものが淘汰されずに逆に新しい芽を摘んでしまっているようなものでうんざりな気持ちだ。
ほんの1億アフリカに投資して、日本に居場所を見つけられない人たちをアフリカにツアーでも行かせればよっぽど国の望む生産的な人間に変われる可能性はあったかもしれない気がした。