Pay Forward(ペイフォワード)

「お客様のドリンク代は前のお客様が」「じゃあ、私も次の人の分を」の繰り返しで350人余りが“おごり合い”リレーを見て「Pay Forward」を思い出す。
あの、子役とはとても思えない子役のハーレイ・ジョエル・オスメントが出演しているので見たのを記憶しているが、デジャヴな感じでした。。
最近のアメリカ国内の雰囲気をJMM冷泉彰彦氏の「from 911/USAレポート」でかいつまんでいるが、ざっと読んでいると随分と社会の「緊張」のようなものは緩和されてきているらしい。

「スローダウンするアメリカ」
どうやら「景気が悪くなるかもしれないが、まだそれほどでもない」という曖昧な世相が、「だったら感謝祭ぐらいゆっくりしよう」という行動として現れているようなのです。また、サブプライムの関連で巨額な損失を確定させた銀行は、この感謝祭の前に大幅なリストラを行っているのですが、それで失職した人の中でも蓄えのある人の一部には「浪人状態だけど、この連休だけはノンビリしよう」という向きもある、そんな話も聞きました。

冷泉氏の考察が

アメリカの「スローダウン」には深い理由があるのだと思います。それは世界全体におけるアメリカの地位が低下しているということの反映です。軍事大国という地位、絶対的な経済大国という地位、具体的に言えば世界一の消費大国、世界一の金融市場という地位から、少しずつではありますが、アメリカは下りてゆかねばならないのです。

という感じだそうで。
「スローダウン」という言葉はもちろん経済の失速といったネガティブな要素もあるけれど、それ以上にリズムが「スロー」になってきているという意味でも使われ「スローライフ」とかいった使い方に近い感じで言及されていました。
今回の350人リレーというのもこの「スローダウン」=「緊張の緩和」の産物なのかなと思ってみたりしてしまいます。逆らえない状況に対しては抗うことなく自然体で関わる。
日本の社会もやはりどうあがいても斜陽の時代なわけでそれを昔の状態に戻そうともがくのか、それともそうでない新しい時代に対応するのかで全く違うスタイルになってくると思います。逆らえない状況に対して抗うことなく、というと昔の状態に戻そうとしている人からは単にあきらめたかのように見られたりしますがそういうことではないと思っています。「Pay Forward」も確か頑なな人たちの抵抗というかそれは激しいものがあったような気がします。結末は半ば忘れたけど、ちょっと悲劇的かつ感動的だったのを覚えています。

ネットというものがなければ今回の350人リレーもここまで知られることはなかったはずで、何気ないことのようだけど、これはすごいと思いました。小さいことの積み重ねが臨界点を超えたとき劇的な変化がやってくる気がします。